専門学校の就職戦線は好調
「即戦力」が売りものの専門学校生の就職状況は、最近の好景気と相まって非常に好調です。
専門学校の伸びが大きいのは、制度が発足して14年を経過し社会に広く浸透したこと、
実際的な専門技術を身につけたスペシャリストの需要が増加していること、
中堅・中小企業の即戦力というニーズに合致していること
などがあります。
事実、東京商工会議所、東京中小企業家同友会などの団体はここ数年、専門学校生を重要な採用マーケットとみなして、専修学校の全国組織である「全国専修学校各種学校総連合会」に対し、盛んに「ラブコール」を送っているのが現状です。
ところで、「大学や短大と比べて専門学校の就職はどうなのか」という声をよく耳にします。
けれどもこの質問の裏には、偏差値的な発想があるように思われてなりません。
というのも、一般に就職に有利かどうかを判断する尺度が、大企業への就職率だと考えられているからです。
マスコミも、夏から秋の就職戦線のころは、その年の様子を「どしゃぶり」「うす曇り」「二転して快晴」などと天気にたとえ、面白おかしく報じていますが、これらはすべて大企業を対象としているのです。
こうした近視眼的な見方ではなく、わが国の企業の九割近くが中堅・中小企業で占められている現実を、客観的に見つめなければなりません。
専門学校は、社会のニーズに応える職業教育機関であり、たかだか一割程度の大企業の人材養成のためにあるわけではないのです。
人間営為の根幹をなす職業人を養成し、広く地域社会を支えているのです。
したがって専修学校の分野は、(1)工業、(2)農業、(3)医療、(4)衛生、(5)教育・社会福祉、(6)商業実務、(7)家政、(8)文化・教養に分けられますが、(2)、(3)、(4)、(5)の分野はほとんど、大企業を就職の対象としていません。
専修学校生(約74万人)全体の29.9%の卒業後の進路は、大企業と関係がないのです。
看護婦、臨床検査技師、歯科衛生士などの医療系、保母、幼稚園教諭などの教育系、栄養士、調理師などの衛生系はまさに、コミュニティー社会を支えている貴重な人材を養成しているといえます。
一方、(1)、(6)、(7)、(8)の四分野は大企業も就職の対象となりますが、大学と比較してどうかといえば、一概に結論を出すことはできません。
もちろん、並みの短大や大学をはるかに超える勢いで大企業に卒業生を送り込んでいる専門学校もありますが、設置学科などをよく検討してみると、全体的に「鶏口となるも牛後となるなかれ」ということになります。
つまり、大企業のシリについているよりは、中堅・中小企業のカシラになる人材を養成しているのです。
いずれにしても、学歴安売りの時代ですから、専門学校生の場合は実学を身につけ、就職に対する周到な準備と計画、それに意欲があれば、まず大夫丈といえるでしょう。
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